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牧師だより ─ 其の百十 ─

 9/11㊊ 北米教会( United Church of ChristとChrist Church ( Disciples of Christ ))との、軍事問題に関する懇談会を開催した。

 と言っても11名中10名が女性の北米からの一行にとっては、「女性の活動」を軸にした諸問題に関しての研修ツアーの一部でしかないのであって、この日も朝、京都から到着後、広島平和記念資料館や平和記念公園を見学し、夕方には京都への途に着くことになっており、西中国教区の要請に応えての軍事問題に関する懇談会は15時から17時までの二時間だけであった。しかし、その二時間を可能な限り有効にしようと、当教区から参加した、わたしを含めた5名は、広島平和記念資料館見学から一行に同行した。

 そして迎えた15時。各人の自己紹介を終えた後、先ずわたしから、懇談の切っ掛けとなった、当教区が作成した在日米軍岩国基地に関するリーフレット作成の経緯、並びにその前提にある2007年の日北米宣教フォーラムにおいて締約されているアクションプランについて、そして今後、軍事力によらない平和の実現に向けて、日北米の教会による協働の可能性の期待について話をさせてもらった。勿論、機会を与えてくれた謝辞も含めてである。

 反応は概して悪くはないのだが、ずっと引っかかりを感じてもいた。

 折しも、その日が「9.11」であったことから、話がそれに及んだ。北米の2, 3名が立て続けに、自分の教会内での苦労話を披露した。退役軍人もいて、政府の役人もいて、事柄の扱いを巡っては慎重が求められ、緊張もあり、しばしば分断も生じると言う。

 直接には語られなかったが、軍事力によらない未来の話、すなわち基地撤廃の話には遠い教会の実際があるということは容易に想像がついた。同時に、軍事力一般ではなく、核兵器の話に持っていこうとすることにも納得が行った。ましてや、わたし達からすれば、押し付けられている在日米軍基地なのであるが、参加者の殆どが、自分たちが押し付けている側にいるという認識には程遠いのであろうことに気づいた時、感じていた引っ掛かりも取れた。

 休憩時に、一人の女性信徒がやってきて、わたしにこう尋ねた。「アクションプランは3つしかないが、より詳細なプランはあるのか」と。通訳を挟んで、私見を話し始めたら、近くで聞いていた、丁度わたしと同じ立場の議長が横槍を入れた。曰く「一信徒が話すべきことではない」ということらしい。押して図るべしである。

 為すべきことは、まだまだ沢山ある。


「神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。」ローマ8:28

 
 
 

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